記事まとめ
- 観光動画/風景動画を撮影した際、どのような構図で撮影すればよいか現地で悩んだ
- カッコよければよい、という甘い認識で撮影していた
- 三分割法の線の交差点に、撮影対象物を置いて撮影していた
- 何となく葉っぱを近くにしてボカして、その先の風景にピントを合わせてみた
- 今後は、「現地で感じた自分の感想/感情を表現するためにはどのような構図がベストか?」を考えて、撮影していきたい
私は2021年5月現在、ブラックマジックデザイン社のシネマカメラである「BMPCC4K」に、オリンパスの高倍率ズームレンズである「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」を装着して、観光動画/風景動画を撮影しています。
2020年には、中国地方5県のさまざまな観光地で撮影を行いました。
- 【2/3】【観光編】広島県の観光地『広島城』【2020年10月29日】 (2021-04-13 14:33:18)
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初心者の私は、本やネットで撮影のやり方を調べて撮影を行いました。
基本的に意識していたのは、三分割法です。
以下の写真のとおり、BMPCC4Kシネマカメラのモニターに、三分割法のための線を表示させて、撮影対象物を線の交差点に乗るように撮影していました。
ところが、以下の広島城の撮影や、一番最近の岡山県の備中松山城の撮影を見ると、三分割法はあまりなく、ほとんどがど真ん中に撮影対象物が来ています。
意識していただけで実践できていなかったようです(反省)。
その他の撮影方法としては、以下のようなものです。
- 何となくカッコ良い構図
- 何となくボカしてみた構図
上記のような構図は、後から見て、何となくカッコよく見えるものもありました。
ただ、「だから何?」というような、現地の情報があまり伝わってこないことが分かりました。
私は撮影方法を間違えていました。
観光動画/風景動画は、現地で感じたことをそのまま伝えればよいのです。
ただ単にカッコ良い映像を撮るのではなく、
・青い海がキレイだった
・人がいっぱいで活気があった
・自然に囲まれて癒された
のような、自分が感じた感情や現地で思った感想を、構図に表せば良いのです。
これに気づくのに、時間がかかってしまいました。
本記事では、今後の撮影方針について検討したいと思います。
目次
1. 風景撮影における撮影方針
風景撮影において、今後は、現地の感情や感想を映像に現れるような撮影方法を取りたいと思います。
1-1. 現地の感情や感想
私が2020年に中国地方5県へ観光した際、現地で感じた感情や感想は以下のようなものでした。
- 岩国城は他の城より白くてキレイに感じた
- 石見銀山の街並み地区は、人が少なく落ち着いた場所に感じた
- 鳥取砂丘で砂丘を歩き続けて、急に現れる海が、まるで、砂漠でオアシスを見つけたように感じた
- 備中松山城は山の上にあり、山登りで疲れた後に城が現れて、「やっと着いたぁ、疲れたぁ」という達成感を感じた
これらの感情や感想は、言葉や文字に表せば、簡単に伝えることができます。
これは、本やブログの仕事でしょう。
動画においては、映像がメインです。
文字をつけられますし、言葉で伝えることもできますが、映像があることが動画のメリットです。
- 文字なら、本やブログでもいい
- 言葉なら、映像がないラジオでもいい
そのため、映像だけで感情を伝えることが、撮影者や動画制作者のスキルだと思います。
私はこのスキルを高めたいです。
動画の文字はあくまでも補足
動画制作をしてみて思ったことが、「動画に出てくる文字を読むのは疲れる」ということです。
私は英語で動画制作にチャレンジしていますが、その動画に、英語字幕をつけました。
自分で作成した動画を見て、字幕を読むことには、以下のような、さまざまな欠点があることが分かりました。
- 字幕を読むことに集中すると、映像が見れない
- 字幕に文字を詰め込みすぎると、疲れて読みたくなくなる
私の動画は、音声がありません。
私が話をしていて、それを字幕にしているならば、まだ良かったと思います。
ただ、そうではなく、文字で説明することは限界があると感じました。
たまに映画の字幕について、「翻訳が正しくない」というような意見があるようですが、演者の話し言葉を全て字幕に含めると膨大な量になるし、疲れます。
そのため、そのまま翻訳するのではなく、少し省いたり、短くするのが正解だと思いました。
ブログや本で文字を読むこととは異なり、動画の文字は、動いています。
自分の速度で読むわけではなく、動画作成者が設定したスピードで流れていきます。
自分で読むスピードを変えたり、止めたりしながら読むことはできません。
だから疲れるのだと思います。
映像の中の文字や字幕は、「あくまでも補足だ」という認識がよいと思っています。
文字を使う場面
なお、「まったく文字を使わない」というわけではありません。
例えば、「祖母の形見の時計」を撮影している場合、それを映像だけで表現するのは困難です。
- 時計の横に祖母の写真などを乗せるなどの方法はあると思います。
そういう場合は、「祖母の形見」というような文字をつけたいと思います。
あくまでも補足なので、文章ではなく、単語や箇条書き程度の文字を付けることを心がけたいです。
話す
映像に文字を載せるより、話して説明する方が理解しやすいです。
文字を読むより、聞く方が楽だと思っています。
私の動画は、日本版も英語版も、しゃべっていません。
今後は、英語スピーキングのスキルを上げて、ナレーターのように話すことに挑戦したいと思います。
まずは日本語のナレーションから頑張っていきたいです。
1-2. 感情や感想を撮影方法に転換する
映画の構図の本を読んだ際、構図や撮影方法(パンなど)には、目的があることを学びました。
例えば、一軒の小屋をズームした場合、次のシーンは小屋の中のシーンで始まることが多いです。
ズームした先は、視聴者に注目させたいものだということです。
パンの終わりや、チルトの終わりについても、注目させたいものを持ってくるのが基本のようです。
撮影方法にはそれぞれ意味があるということです。
そして、撮影する際には、何かしらの感情や感想を持っていると思います。
そのため今後は、「感情や感想」がまずあり、その次に、それを表現するためにはどういう撮影方法をすべきかを考えて、撮影に取り掛かるようにしたいと思います。
現地で感じたこと | 撮影/編集方法の例 |
広いと感じた | ・広角で全体を撮影する ・パンで撮影する |
建物の高さに圧倒された | ・人と建物を比較できるように撮影する ・チルトで撮影する |
海と浜辺が並んでおり、浜辺の方に美しさを感じた | ・浜辺にピントを合わせて、海をボカす |
海と浜辺が並んでおり、海の方に美しさを感じた | ・海にピントを合わせて、浜辺をボカす |
撮影時に感情を表現しておくメリット
撮影時に感情を表現しておけば、動画編集時に迷う必要がありません。
例えば、海と浜辺の映像で、「浜辺にピントを合わせて、海をボカして撮影」していたら、浜辺のほうが美しかった(注目に値するものだった)のだと分かります。
動画編集時に、もう海にピントを合わせることはできませんので、浜辺を美しく見せる編集しかできません。
これで良いはずです。
現地でそう感じたわけですからね。
動画編集は、あくまでも撮影に失敗したときに、修正するための作業だと考えたいと思います。
基本は、動画撮影で完成させるようにしたいです。
現地で感じた感情を忘れてしまう
物覚えの良さ/悪さが関係しているか分かりませんが、観光地の現地の状況をしっかり頭に焼き付けることは難しいと思っています。
楽しい思い出などは残りますが、現地の美しさを、鮮明に記憶に残すことができていません。
あまりにも印象に残った場所なら勝手に記憶されていますが、すべての場所とまではいきません。
撮影後、自宅に戻って、動画編集時に、その感情や現地の美しさを忘れていなければ良いですが、場合によっては記憶が薄れていきます。
そのため、撮影時に、感情を表現しているのが一番よいと思います。
「浜辺にピントが合っていて、海をがボカされている映像」しかなければ、浜辺の方が海よりキレイだったはずです。
撮影素材を見て、自分も現地の感情を思い起こせるようになります。
色を忘れてしまう
鳥取砂丘の動画を編集しているとき、動画編集ソフトのダヴィンチリゾルブで、自動カラー調整の機能(自動バランス)を使ったのですが、うまく行きませんでした。
自動バランスは以下の記事で説明しています。
そのため、自分でカラー調整をしようと思ったのですが、「砂丘がどのような色だったか」を思い出せず、うまく編集できませんでした。
そのため、以下の動画のとおり、鳥取砂丘の砂の色が、黄色すぎたり、薄かったりしています。
これは問題だと感じました。
「広かった」とか「海より浜辺の方がキレイだった」という感情や感想は、文字や撮影に残しやすいですが、色は残しにくいです。
特に、BMPCC4KシネマカメラでRAW撮影している場合、色は情報として保存されますが、自分で編集しないといけません。
しっかり色を記憶する方法を考えないといけないと感じました。
1つの方法として、スマートフォンで写真を撮っておくほうがよいと思いました。
使用したスマートフォン機種の色表現の仕方などにより、表現されるカラーは違うと思いますが、1つの参考としては残るので、記憶を呼び起こすキッカケになるかもしれません。
色は文字による表現では残しにくいので、できれば記憶に残せるようになりたいですね。
1つの撮影方法を多用しない
私は、パンやチルトを、観光地を広く見せたいため使っていました。
これも1つの目的による撮影方法だと思いますが、多用しすぎていましたので、何に注目させたいのかが分かりにくくなっていたと思います。
広く見せる方法は1つではありません。
対象物から目一杯離れて、広角で撮影することで、全体像を撮影することは可能です。
パンやチルトだけではないと思います。
このように、いろいろな撮影方法を使って視聴者に見せた方が、目が疲れないし、映像表現が異なるので、より分かりやすいと思います。
カメラ上級者がいろいろな撮影方法を知っているのはメリットだと思います。
そのため、撮影方法を勉強し続ける必要性を感じています。
動画編集においても感情を表現する
撮影カットだけで表現できない感情もあると思います。
例えば、以下のような感情です。
- 鳥取砂丘の砂丘を歩き続けて、ついに海を見つけた
- 岩国城まで、30分間、道を登り続けて、ようやく城に辿り着いた
撮影カットは、基本的に15秒程度となっています。
もし、30分くらい撮影し続けたら、「ようやく辿り着いた感」を出せると思います。
30分間砂丘の映像を流し続けて、最後に海を出せば、そういう印象を受けると思います。
ただ、15秒のカットについても、編集でうまく調整できると思います。
- 砂丘のカットを連続で並べる
- 視聴者が飽きそうなところ/疲れたところで、海のカットを入れる
視聴者に疲れさせるのも、1つのテクニックなのかなぁと思っています。
実際に、山登りや砂丘歩きに疲れたなら、少しでも疲れたような感情を視聴者に与えたいです。
歩き疲れた感情は与えられませんが、見るのに疲れたという「疲れた表現」は与えられます。
このように、撮影カットをうまく並べたいです。
写真と違い、動画はカットを時系列で流すことができます。
その流れに意味を持たせることができます。
動画の特徴を活かす編集ができるようになろうと思います。
1-3. 悪い感情や感想も人によっては良い印象になることもあるのでそのまま表現する
現地で感じたことをそのまま表現すればよいと思っています。
嘘をつく必要はないでしょう。
例えば、「人が多すぎてゴミゴミしていた」のであれば、現地の雑音も収録して、ゴミゴミした映像を撮影すればよいと思っています。
人によっては、
「こんな人が多い観光地に行きたくない」
と思うでしょう。
ただ、「人が多すぎてゴミゴミしていた」というのも1つの情報です。
追加情報として、「その日は、休日でした」という情報を加えると、
「休日に行くのはやめて、平日に行こう」
となり、役立つ映像だと思ってもらえる可能性もあると思います。
「活気がない観光地」という表現も、人によっては、「人が少ない落ち着ける場所」かもしれません。
人によって、感じる感情は異なると思います。
そのため、自分が感じた感情をそのまま表現することが一番よいと思っています。
嘘はつかない
嘘はつかない方が良いと思っています。
「海が青くて有名な観光地」という評判で現地に行ったが、全然大したことないと思った場合、そのままの表現がよいと思っています。
自宅に帰って、動画編集時に「青」を際立てさせるようなカラー編集をするのは、ちょっとやりすぎじゃないかと思います。
観光地をアピールする動画で、「観光地業界」の方々が作るときに、少し強調するなら分からなくはないですが、普通に観光に行っている観光者としては、そのままのほうが、他の観光者へ正しい情報が伝えられると思いました。
なお、天気や季節が悪かっただけかもしれません。
これも情報だと思います。
「私が行った時はよくなかった」という情報が、ブログやYouTubeに残っていたら、そこに行こうと思っている人は、
「時期や天気を考えて訪問しよう」
と、役立つ情報に変わるはずです。
映画において、「朝撮影したが夕方の雰囲気が必要だからそういうカラーに変えた」というのは嘘じゃないと思います。
でも、個人の制作物なら、そのままが一番じゃないかなぁと思っています。
良いところを探そうとする
観光地に訪れて、「全然良いところがない」と感じることも少なくないです。
別に、観光地のせいばかりじゃないと思います。
「観光地で、他の観光者とトラブルがあった」とか「前日に仕事で嫌なことがあった」ということでも、現地の感想は変わります。
ただ、せっかく訪問したわけなので、良いところを探そうとするべきだと思いました。
探せば、どこか1つくらい良いところがあると思っています。
そういった場所を探し出そうとするスキルも、撮影スキルを上げることと同様に大事なスキルだと思います。
1-4. カッコいいだけの動画も良いと思う
「カッコいい動画の制作」も1つの目的だと思います。
観光地を紹介するのではなく、「自分が、カッコいい映像を作れる人であることをアピールする場合」は、観光地はあくまでもサブで、メインは「自分の撮影スキル」です。
そのため、ただ単純に、カッコいい構図やカッコいい動画を撮るのもよいはずです。
また私は、自分の車をカッコよく撮影したいと思っています。
このときは、構図や撮影方法については、とにかくカッコ良さそうな方法もを使う予定です。
観光地を撮影する時はできるだけ現地の感情を参考にしますが、車の撮影はカッコよくします。
「どうしてこの撮影方法で撮ったのですか?」と聞かれた時、自分なりに答えがあればよいと思っています。
私にとっては、観光地撮影については、「こういう感情を表現したかったのです」という答えが一番しっくりくる答え方だと思っているので、そのように撮影します。
2. 終わりに
撮影の構図に、答えなんてないと思っています。
その人が撮りたいように撮れば良いと思います。
例え、映画のための撮影でも、誰かに見せるための撮影でも、自分のための撮影でもです。
誰かに、「その構図はカッコ悪いね」と言われる筋合いもないと思います。
本記事の検討は、あくまでも私が観光動画/風景動画を撮るときの方針になります。
私のように、自分が作りたい作品のことを一旦考えてみて、撮影方針を検討してみると今後に活かせると思います。
私も本記事の内容を早速実践していきます。