動画撮影のために『NDフィルター』の購入を検討

記事まとめ

  • 今までNDフィルターをつけずに動画撮影をしてきたが、いろいろ調べるとNDフィルターをつけている人が多いため、購入を検討してみた
  • なぜNDフィルターが必要なのか?
    • 露出を決める3つの要素「①レンズの絞り」「②シャッタースピード」「③ISO感度」のうち、「①レンズの絞り」で開放側(F値が低い側)にできるため
    • シネマチックな動画においては、「②シャッタースピード」は固定(私は1/48)の場合が多い
    • 「③ISO感度」は上げるとノイズが増える印象
  • 「①レンズの絞り」は開放側の方がよいのか?
    • 映像を明るくできる
    • ボケ感がある撮影ができる
    • 絞りすぎると映像がボヤける?
      • 2020年の撮影素材で、F値4.0とF値22.0を比較し、映像がボヤけているか確認してみた
        • 私の目では、あまり違いが分からなかったが、言われてみるとボヤけているような気もする
  • 2020年の撮影において、F値はいくつに設定している素材が多いか確認してみた
    • 屋外の撮影ではやはり、F値20台が多かった
    • 屋内や、影が多い山道の屋外では、F値が4.0になっていた
  • 【検討結果】
    • 私はボケ感を多く撮影するつもりはないが、NDフィルターのよさを実感してみたいため、F値22.0をF値4.0に抑えるレベルのNDフィルター(ND32)を1個だけ購入してみることにする

 

私は2021年5月現在、ブラックマジックデザイン社のシネマカメラである「BMPCC4K」に、オリンパスの高倍率ズームレンズである「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」を装着して、観光動画/風景動画を撮影しています。




2020年には、中国地方5県のさまざまな観光地で撮影を行いました。

 

 

私はカメラ撮影については初心者です。

まだBMPCC4Kを購入してから、10回くらいしか撮影に出かけていません。

 

自宅にいるときは、カメラ撮影やシネマチック撮影の方法などについていろいろ調べています。

その中で、「NDフィルター」の話が出てきて、いつも気になっていました。

 

なぜなら、私はNDフィルターを付けずに撮影しているからです。

レンズにはレンズフードしか付けておりません。

 

初心者の私は、NDフィルターの必要性を感じることがありませんでした。

ただ、今の私の映像に満足しているわけではありません。

もっとシネマチックな(映画風な)映像にしていきたいと思っています。

 

そのため、NDフィルターを付けた撮影も実施してみるべきだと思いました。

 

今回の記事では、私が今まで撮影した素材を整理し、どのようなNDフィルターを購入すべきかを検討してみました。

目次

1. NDフィルターの購入検討

本記事では、以下のような流れで進めていきます。

  • なぜNDフィルターを付けるのか?
  • 私の2020年の撮影素材において、「絞り(F値)」の設定はどうなっていたか?
  • どんなNDフィルターを購入するか?

 

1-1. NDフィルターが必要な理由

NDフィルターは、レンズにつけるサングラスのようなものです。

明るさを調節するフィルターですね。

 

カメラにおける明るさ(露出)は、以下の3つで決まります。

  1. レンズの絞り(F値)
  2. シャッタースピード
  3. ISO感度

 

①私の場合、「シャッタースピードは固定」「ISO感度は低い方を好む」

私は、シネマチック(映画風)な映像を撮影したいと思っています。

 

いろいろ調べたところ、シネマチックにする方法として以下がありました。

  • 24fpsで撮影する
  • シャッタースピードは、24fpsの2倍の、1/48にする

 

カメラ初心者の私はまだ深く理解できていませんが、上記のとおり、「シャッタースピード」については、固定値で撮影することに決めています。

そのため、撮影で明るさを調整したいときに、「シャッタースピードを変える」という選択肢はありません。

 

また、ISO感度については、「上げていくとノイズが強くなっていく」という情報がありました。

こちらについては、実際に確認済みです。

ISOを100から400にするだけでも、映像に、赤いボツボツしたノイズが乗っていることを確認できました。

 

そのため、できるだけISO感度は上げずに、100で撮影しています。

 

ISO感度については今後は変えていく予定

ただ、ISO感度は、暗い場所では積極的に上げようと思っています。

とくに夜のドライブ撮影では、ISO100ではなく、ISO1250で撮影予定です。

 

これは、BMPCC4KがデュアルネイティブISOを採用しているためです。

 

こちらについては以下の記事でまとめています。

 

②明るさは「レンズの絞り」で調整する

以上より、「シャッタースピードを固定」「ISO感度は小さく」するという考えのため、明るさ(露出)調整は、「レンズの絞り(F値)」しか残っていません

 

そのため、2020年の撮影では、現地で、絞りを調整してから撮影を行なっていました。

屋外の日光が照っている場所だと明るすぎるため、F値を上げていました。

今までこの運用で特に不都合を感じていません。

 

絞りの調整はカメラ任せ

なお、絞りの調整は、カメラに任せています。

自動設定(オート設定)ではなく、録画ボタンを押す前に、「アイリスボタン」を押して、F値を設定していました。

 

オリンパスの高倍率ズームレンズの絞り

「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」のレンズは、41個の絞り(F値)を設定できます。

  • 4.0/4.2/4.5/4.6/4.8
  • 5.0/5.2/5.4/5.6/5.9
  • 6.2/6.4/6.7
  • 7.0/7.3/7.6
  • 8.0/8.3/8.7
  • 9.1/9.5/9.7
  • 10.0/10.5
  • 11.0/11.5
  • 12.0
  • 13.0
  • 14.0/14.5
  • 15.0/15.5
  • 16.0/16.5
  • 17.0
  • 18.0
  • 19.0
  • 20.0
  • 21.0/21.5
  • 22.0

 

③「レンズの絞り」は小さい方が良いのか?

NDフィルターを使うと、「レンズの絞り」を絞らなくても明るさを落とすことができます。

ただ、私は今まで、明るいところでレンズを絞って明るさを調整していましたが、それで特に問題を感じていません。

 

そもそも、レンズの絞り値(F値)が小さいと何がよいのでしょうか?

  • F値を上げて撮影すると、何がいけないのでしょうか?

 

私が調べたところ、レンズの絞りの役割や注意点は以下の3つのようです。

  1. 映像が明るくなる
  2. ボケ感がある映像を撮影できる
  3. 絞りすぎると映像がボヤける

 

絞りの働きは2つあります。1つはセンサーへの光量のコントロールで、もう一つはピントの合う範囲の調節によるボケの表現です。

デジタル撮影技術完全ブック(著者:田中一成)

 

  • デジタル撮影技術完全ブック


1-絞り値が小さいと明るい

F値が小さいと明るいのは確認済みです。

どちらかというと、F値を大きくすると暗くなっていくことを実感しています。

 

私のレンズは、F値4.0のレンズです。

これ以上小さくはできません。

 

おそらくですが、夜の撮影において、F値1.0などのレンズを使うと、もっと明るい映像が撮影できるのではないかと予想しています。

正直、F値4.0よりもっと明るいレンズがほしいという気持ちが強いのですが、金銭面の関係でまだ購入に至っていません。

 

2-ボケ感がある映像

おそらく、NDフィルターを付ける理由はここだと思っています。

 

絞り値が小さいと、ボケ感がある映像を撮りやすくなります。

 

ボケ感のある映像は、以下の4つの要素が関係しているようです。

  • なお、被写体深度を決める要素と同意です。
  1. カメラのセンサーサイズ(大きいほどボケやすい)
  2. カメラの距離(距離が近いほどボケやすい)
  3. 焦点距離(望遠レンズの方がボケやすい)
  4. 絞り(絞りを開けるとボケやすい)

 

深度を浅くするときは、近くで、望遠レンズにし、絞りを開ける。

映画制作の教科書 プロが教える60のコツ(監修:衣笠竜屯)

 

 

つまり、撮影対象を「近くで、望遠レンズにして、絞りを開けて撮影する」と撮影対象物の周りがボケやすくなるようです。

 

カメラのセンサーサイズは、BMPCC4Kの場合、マイクロフォーサーズで固定です。

あとは、残りの3つの要素を変えて、ボケ感を撮影することになります。

 

その一要素として、「レンズの絞り」があるわけです。

 

そのため、この「ボケ感」を得たいか否かが、NDフィルターを購入するか否かにつながっているのだと思っています。

 

夜や暗いところの撮影で明るさを求めるのも「絞り」が関係していますが、それはNDフィルターは関係しませんからね。

 

  • 映画制作の教科書 プロが教える60のコツ


3-絞りすぎるとボヤける?

絞り値を上げすぎると(絞りすぎると)、映像がボヤけるというような記述も発見しました。

レンズの絞りを絞りすぎると回折現象がおこり、フォーカスがボケたようになりますから、被写界深度の問題が無くともあまり絞りすぎないことです。

デジタル撮影技術完全ブック(著者:田中一成)

 

 

 

フォーカスがボケるというのは、映像がボヤけることだと認識しました。

確かに、絞るということは、光の量が減りますし、映像の情報(解像やカラーなど)も減っているはずです。

だからボヤけるのかもしれません。

 

2020年の撮影素材をチェックしてみたところ、カメラ初心者の私にはあまり違いを理解できませんでした。

F値4.0とF値22.0を比較しましたが、どちらも一応くっきり見えている印象です。

 

  • F4.0の映像

  • F22.0の映像

 

ただ、言われてみると(F22がボヤけるという情報をもとに見てみると)、若干F22.0の映像の方が、ぼやけた感じの映像が多い印象もあります。

鳥取県(鳥取砂丘)の映像は、全体が明るすぎて、確かにボンヤリ、ジワーッとしているように見えます。

1-2. 2020年の撮影におけるF値の設定(整理)

NDフィルターには、フィルターの濃さによる種類があります。

  • ND4: 光量を1/4に減光
  • ND8: 光量を1/8に減光

 

以下の「Kenko Tokina」のページが参考になりました。

大口径レンズを開放F値で使うためのNDフィルター

 

上記のページより、「F4.0を使うためのNDフィルター」の表を抜き出しました。

NDなしでのF値 F5.6 F8 F11 F16 F22
F4.0を使うためのNDフィルター ND2 ND4 ND8
(ND4 + ND2)
ND16
(ND8 + ND2)
ND32
(ND8 + ND4)

 

NDフィルターなしの撮影素材の整理

どのNDフィルターを購入すべきかを考えるため、2020年の撮影素材(NDフィルターなし)で、実際にF値をいくつに設定していたかを整理してみました。

 

その結果が以下で、数字は撮影素材のファイル数です。

なお、撮影時の設定は、基本的には以下のとおりですが、一部、「60fps」「ISO1250」「焦点距離100mm」などがあります。

  • 「4K DCI」「24fps」「シャッタースピード1/48」「ISO100」「焦点距離25mm」「Blackmagic RAW」
  広島城 平和記念公園 錦帯橋 岩国城 石見銀山 石見銀山街並み地区 鳥取砂丘 備中松山城
4.0 9 - 1 57 70 12 - 19
4.2 ~ 4.8 4 - - 1 4 11 - 1
5.0 ~ 5.9 4 - - 5 6 17 - 8
6.2 ~ 6.7 3 3 1 3 2 4 1 6
7.0 ~ 7.6 3 7 4 3 6 7 - 4
8.0 ~ 8.7 5 1 3 2 6 2 4 12
9.1 ~ 9.7 5 2 1 3 2 1 5 11
10.0 ~ 10.5 3 2 1 3 4 - 1 8
11.0 ~ 11.5 7 5 2 3 1 1 2 6
12.0 3 2 1 8 1 - - 6
13.0 - - - - - - - -
14.0 ~ 14.5 4 2 3 - 4 - 15 9
15.0 ~ 15.5 2 7 6 10 2 - 4 5
16.0 ~ 16.5 5 7 19 2 1 - 4 7
17.0 7 2 2 2 7 - 29 7
18.0 6 - - - - - - -
19.0 3 6 13 4 - - 12 5
20.0 2 - - - - - - -
21.0 ~ 21.5 28 - 1 1 3 - 7 3
22.0 30 7 10 7 - - 18 14
(撮影情報記録なし) 1 1 1 26 5 - 4 1

     

    ①やはりF22.0(最大値)の映像は多い

    私は基本的に、晴れの日しか出かけません。

    そのため、屋外の撮影では、日光が照ってます。

     

    上記表についても、F値22.0で撮影したファイルが多いことが分かります。

     

    F22.0にしたということは、かなり明るかったのだと思います。

    最大値ですので、もしかしたら、もっと明るさを下げる必要があったのかもしれません

     

    そのため、ND32のフィルター、もしくは、それ以上のフィルターがあるとよさそうですね。

     

    ②F4.0(最小値)の撮影素材もあった

    撮影素材を見直してみると、F4.0の撮影素材は、「屋内での撮影」「山道の木陰での撮影」の映像でした。

     

    • 屋内の撮影: 「広島城、岩国城、備中松山城の城内」
    • 山道の木陰での撮影: 「備中松山城、石見銀山での山道」

     

    「鳥取砂丘」での撮影においては、砂丘の上での撮影であり、影がほとんどありませんでしたので、F4.0の撮影素材はありませんでした。

     

    観光地においては、こういった暗い場所での撮影もあるため、NDフィルターを付けて撮影したとしても、その都度外す必要がありそうです。

    NDフィルターを付けずに撮影していた時と比べ、手間が増えることを覚悟しないといけないですね。

     

    ③F5.0~20.0の撮影素材もそれなりにある

    観光地は、ちょっとした木陰だったり、雲がかかって薄暗くなったり、また、朝に現地についても、帰りの撮影は夕方になったり、やはり、いろいろ状況が変わります。

     

    そのため、F値はその都度、変更していました。

     

    NDフィルターもその都度、状況に応じて変えていく必要がありそうです。

     

    ④撮影情報が記録されていない?

    一部の撮影素材は、F値が記録されていないものがありました。

    ISOなども記録されていないこともありました。

     

    原因は詳しくは分かりません。

    「岩国城」の撮影では、26ファイルの素材について、記録されていませんでした。

     

    「暗い山道」を登っているときの映像ファイルがほとんどでした。

    ただ、その道で撮影したファイルで記録できているファイルもありました。

     

    カメラ本体でエラーメッセージが出ていたわけではありませんので、バグか何かだと思いますが、今のところ支障はないです。

    なお、撮影素材はきちんと映像確認できています。

    1-3. NDフィルターのND32を購入したい

    ここまでの検討により、NDフィルターのND32だけを購入したいと思います。

     

    理由は以下のとおりです。

    • 今のところ、ボケ感を求めていない
    • F22.0で、映像がボヤけているように感じない
      • F5.0 ~ F21.5でも支障を感じていない
    • ただ、今後、夏に撮影したいが、もっと明るくなることが予想され、ND32だけは持っておく方がよいと考える
    • また、NDフィルターの効能を実感したいので、ND32をつけて、屋外の「ボケ感」撮影を試してみたい

     

    私はそれほどボケ感を求めていません。

    もし、ボケ感を必須だと考えていたのであれば、BMPCC4Kのマイクロフォーサーズではなく、フルサイズのカメラを買っていたと思います。

     

    ただ、シネマチックの撮影において、「ボケ感があるとシネマチックに見える」というような情報もありました。

    確かに、映画において、2人の会話の映像で、それぞれの人にピントを合わせた2つのカットをつないでいる映像を何度も見たことがあります。

     

    また、映像を見ている人に、何かを注目させたい場合は、それ以外をボカす方法があります。

    今後は、そういう撮影方法も実施すべきだと思っています。

    観光地の現地で感じたことを、言葉がなくても感じるような映像を作りたいからです。

     

     

    そのため、NDフィルターを1つだけ購入したいと考えました。

    映像がどのように変わるのか、自分で確かめてみたいです。

     

    NDフィルターの濃さですが、F22.0で撮影した素材は、もしかしたら、明るすぎていたかもしれません。

    また、今後、夏に撮影を行う予定ですが、その場合は、もっと明るいかもしれません。

    • 2020年の撮影素材は、10月〜12月の撮影

     

    このような理由から、ND32を1つだけ購入しようと考えました。

     

    どのNDフィルターを購入するか?

    「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」のフィルターサイズは、72mmです。

    オリンパスのホームページ

     

    NDフィルターは、可変式という、濃さを変更できるものがあるようです。

    ただ、可変のため、減光にムラができたり、解像度が落ちるような欠点が出ることもあるようです。

     

    また、フィルターを重ねるのもあまり良くないという情報も見つけました。

    NDが足りなくてフィルターを重ねて使うと画像がフラットになりますから、これも避けたほうがよいです。

    デジタル撮影技術完全ブック(著者:田中一成)

     

     

    私はカメラ初心者ですし、今回は、ND32だけを購入したいので、可変式ではなく、固定式にしたいと思います。

     

    Amazonで、ND32のフィルターサイズ72mmのNDフィルターを検索すると、以下のような製品がありました。

    値段も違うようなので、特徴を比較しながら、この中から1つ選びたいと思います。

    (2020年5月18日現在検討中)

     

    • Kenko NDフィルター PRO1D Lotus ND32 72mm


     

     

    • MARUMI NDフィルター 72mm DHG ND32


     

     

    • MARUMI NDフィルター 72mm EXUS ND32


     

     

    • Nikon NDフィルター ARCREST ND FILTER ND32 72mm


    2. 終わりに

    「頭で考えていたことが、実際にやってみたら全然違った」ということはよくあります。

     

    ブログやYouTubeで、NDフィルターの情報を調べたとしても、実際に装着して、自分の目で確かめてみないと、良し悪しを理解できないと考えています。

     

    そのため、「NDフィルターはつけなくていいや」と考えずに、付けてみたいと思います。

     

    また、ボケ感を求めないことも、あまりよくない考え方だと思いました。

    撮影の練習としては、特に映像の目的がなくとも、ボケを出す練習をすることも大事だと思いました。

     

    ただ、映像作品においては、ただ単にボケ感を出すのではなく、「〇〇を注目してもらいたから」などの理由を明確にするつもりです。

     

    まずは、練習のため、NDフィルターを購入して、屋外撮影のボケ感、つまり、絞りを絞った撮影に挑戦したいと思います。

    2020年に撮影した素材よりも、良い素材が残せれば、購入の価値があったと判断します。

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