【本のレビュー】『filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方』

記事まとめ

  • 洋書の翻訳本である「filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方(グスタボ・メルカード著)」の感想
  • どのような本か?
    • 動画撮影、特に、映画制作における撮影に関する本
    • カメラのレンズと、そのレンズで作り出す構図について、その構図の意味と撮影方法が説明されている
  • 本書の内容を一言で表現すると?
    • 「撮影における構図には、意味をもたせましょう!」
  • どのような人が読むべきか?
    • 動画撮影における構図に悩んでいる人
    • レンズ選びに迷っている人
  • 少し辛口な感想
    • 人物を撮影する際の構図の話が多いため、風景映像を作成する人には参考する部分は少ないと思う(私はその一人)

 

私は今まで、一眼レフカメラやシネマカメラをほぼ使ったことがない状況で、「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K(略称、BMPCC4K)」というシネマカメラを購入しました。


 


当然、映画制作や撮影に関する学校にも通ったことはありません。

観光地などで、自分の記録のためにスマートフォンで撮影する程度のことしかやってきておりませんでした。

 

そのようなときに購入した本が、「filmmaker's eye 映画のシーンに学ぶ構図と撮影術 : 原則とその破り方」です。

この本のレビューについては、以下の記事でまとめています。

 

上記の本は、映画のシーンから、その構図がどういった意味を持っているかを説明してくれる本でした。

「構図」が主役の本であり、「超クローズアップ」「クローズアップ」など、撮影方法を中心に語られていくスタイルでした。

 

撮影において、
「このような撮影方法や構図があり、それぞれ、こういう意図で使われる」
ということがわかる本でした。

 

そして何気なくインターネットを見ていると、上記の本と同じ著者の新しい本が出ていました。

それが、「filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方」です。

 

こちらの本の主役は、「レンズ」です。

ただし、語られる内容は前著と似ています。

 

映画のシーンにおいて、「その構図がどのような意図があり撮影されたのか」を中心に話されていきます。

その中で、「レンズ」、つまり、広角レンズや望遠レンズなどの説明がより詳細になった感じです。

 

さらに、違うところは、構図や撮影方法の名前ではなく、感情や表現方法の名前をタイトルにしている点です。

例えば、以下のようなものです。

  • 空間における、「囲い込む」「広大さ」「気まずさ」‥
  • 動きにおける、「緊急性」「スピード」「サスペンス」‥
  • フォーカスにおける、「魅力」「コンテキスト」「重要性」‥

 

前著では、「超クローズアップ」「クローズアップ」がタイトルでした。

 

私はこの本を非常に気に入っています。

まさに欲しいと思っていた本でした。

 

なぜか?

 

私は、映画の制作ではなく、風景動画を作ることが多いです。

その際に、どのような構図にするか迷うのですが、
「現地で感じた感情や感想を、そのまま伝えられる構図にしよう」
と思っています。

 

つまり私の場合、撮影における流れは以下のようになります。

  1. 観光地に訪れる
  2. 「広い」「美しい」などの感情や感想を得る
  3. その感情や感想を実現するための「構図」を考える
  4. 撮影する

 

上記のとおり、「撮影方法/構図」を考える前に、必ず「感情/感想」があります。

 

本書は、それぞれのタイトルが、「感情/感想」で示されていますので、そのページを確認して、構図や撮影方法の参考にできます。

つまり、私の撮影の流れに適した本だと言うことです。

 

 

ただし、風景撮影に関する話はあまりありません

あくまでも映画の撮影に関する本ですので、人物撮影が中心的な本です。

 

それでも、レンズの選び方や構図の考え方が非常に参考になりますので、私は本書を参考に、風景撮影をしていきたいと思っています。

 

本書を購入する際、インターネット上に本書のレビュー記事がありませんでした。

そのため、本記事では、本書の購入を検討している人にお役に立てればと思い、内容のレビューを行いたいと思います。


目次

1. 「filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方」のレビュー

本書は、撮影における構図について、映画のシーン(写真で抜き出し)を紹介しながら説明しています。

 

簡単に言うと、「このシーンは、主人公が悩んでいる状況を演出するために、こういった構図で撮られている」というような説明です。

 

その際に、「この構図は、こういったレンズ(広角、望遠など)を使う」など、レンズを中心に説明されています

 

本書を読んで一番印象に残ったことは、「撮影においては、意味を考えて構図を選択する」ということです。

ただ単純に、「カッコいいからこの構図」「他の映画作品で印象に残ったらから真似してこの構図」というやり方はNGだということです。

 

また、ある映画での構図と、他の映画での構図が同じであっても、ストーリーが違えば、視聴者の受け取り方が変わります。

つまり、ストーリーを意識して、構図やレンズを選択する必要があることを学びました。

 

1-1. レンズ選びに悩んでいる人に適した本

本書の最初の4分の一(約40ページ)は、レンズの基本的な話となっています。

基本的といっても、私にとっては有益で分かりやすい説明でした。

 

例えば、焦点距離が「300mm」「200mm」「150mm」‥と変えていく場合に、人物を同じ大きさに保つ場合、それぞれ、「300mmの場合は5.6m離れて撮影」「200mmの場合は4m離れて撮影」「150mmの場合は2.8m離れて撮影」というようなことを、写真付きで説明しています。

 

300mmの場合は人物の後景が非常にボケているし、14mmの場合はボケておらず、人物の顔が若干、歪(ゆが)んで見える、というようなことも分かります。

 

レンズを1本持っていて他のレンズが気になっている人、これからレンズを買おうと思っている人にとって、非常に役立つ情報が書かれていると思います。

 

1-2. 構図には意味を持たせること

本書の著者は、前著でも本書でも一貫して、「構図には意味を持たせること」を主張しています。

 

映画や動画にはストーリーがあり、「その流れで/そのタイミングで」、そのショット(構図)を見せることで、視聴者が情報を受け取ります。

流れやタイミングが違えば、受け取る情報が違うというわけです。

 

本当のシネマティックとは?

撮影する人や、撮影したショット(素材)を並べて編集する人は、以下の引用文の考え方を持っておくべきだと思いました。

 

このレベルのシネマティックな表現を行うには、ストーリーのコンテキストにおいて、レンズの光学特性を利用し、ショットのビジュアル(構図、ライティング、被写界深度、露出、色合いなど)をどう支えるかを理解していなければなりません。
これらの要素すべてを等しく考慮することではじめて、動作のニュアンス、感情の機微、心理状態、サブテキスト(言外の意)、ムード、トーン、雰囲気、抽象的な概念など、ほぼすべてのことをレンズを通じて伝えられます。

filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方

 

私は、YouTube上で、日本の観光地を紹介していこうと考えております。

その中で、単に
「カッコ良いし、目立てるから」
という理由で、シネマティック(映画風)にしたいと思っていました。

 

そして、シネマカメラであるBMPCC4Kを購入しました。

 

ただ、私がやろうとしていたことは、「雰囲気」だけでした。

 

24fpsで撮影して、ちょっと暗めの薄い感じの映像にして、上下に黒い帯を入れる。

そのような感じで、映画っぽく見せているだけでした。

 

本当のシネマティックというのは、雰囲気だけでなく、ストーリーや話の流れなどもっと深いところまで考えるべきだと思いました。

本書を読むことで、本当のシネマティックを目指したくなりました。

 

ショットの流れも重要

撮影ショットは、自宅に帰って編集作業時に、流れを入れ替える場合があります。

撮影のままそのまま使う人もいると思いますが、基本的には、不要なショットを消したり、短くしたり、色々調整すると思います。

 

その中で、ショットの流れ/並べ方も、意味を示す際に大変重要だということを学びました。

以下の、クレショフ効果という効果が重要だと感じました。

あるショットがスクリーンに投影されると、構図、ライティング、アートディレクション、被写界深度など、目と耳からさまざまな要素がそのショットのアイデアを伝えます。
そして、別のショットが加わると、両方の画像の解釈に影響します。
各ショットが持つ意味に、すべてが明らかになっていない状態の観客の思考過程が加わり、第3の意味が生じるのです。

filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方

 

1つ1つのショットだけを見せられるのと、それぞれのショットを流れで見せられるのとでは、視聴者が感じとる意味が変わるということです。

 

「映像制作者はここまで考えないといけないのか!」と、難しさや大変さを感じたと共に、「ぜひやっていこう」という思いも湧き上がりました。

 

視聴者はいろんな考え方や感情を持って自身の映像作品を見ることになると思います。

すべての人に同じ感情を持ってもらうように仕組むことは難しいと思います。

 

ただ、「自分がこう感じて欲しい」と思うことを、ショットの構図や、ショットの繋ぎ方(流れ)によって表現しようすることは、非常に大事なことだと思っています。

 

これが映像制作者の初心者と上級者の違いになるのでしょう。

 

1-3. ボケを撮影したい

私は今まであまりボケ感を意識していませんでした。

ボケを出すことが、カッコよさをアピールするだけのテクニックだと思ってしまっていたからです。

 

そのため、BMPCC4Kというマイクロフォーサーズのカメラと、F4.0のオリンパスレンズで満足していました。

ボケを求めるなら、フルサイズのカメラと、F1.xの明るいレンズを買っているはずですからね。

 

ただ、本書の以下の引用文を読んで、やはりボケ感が必要だと感じています。

被写界深度は、ストーリーテリングの重要なツールです(本書でトピック数が一番多い章が「フォーカス」なのも不思議ではないでしょう)。
また、シネマティックな映像を作るうえでも重要です。
被写界深度の浅い画像は一目でそれとわかり、そのような映像を見た観客は、自動的に本格的な映画だとみなすのです。

filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方

 

被写界深度の浅い、ボケ感がある映像を見ると、映画だと感じるということです。

 

まだ映画をあまり見ていない子どもは、そのように感じないと思います。

ただ、何十年も映画を見続けた大人たちは、ボケ感がある映画を何度も見ており、意識せずとも、
「ボケ感 = 映画」
という考え方になっているということです。

 

確かにそうかもしれません。

私もボケ感がある映像を見たら、本格的な映画だと思ってしまいます。

 

だから、シネマティックな映像を作りたい私は、その考え方を意識して映像を作っていくべきだと思いました。

 

ただし、ボケ感をただ単に意味もなく使うことはしません。

本書を参考に、ストーリー的に、構図的に、ボケ感が必要だと思った時だけ使います。

 

基本的な考えは、フォーカスを合わせた場所は、視聴者の視線を誘導したい/注目させたい場所になります。

このような考え方と、本書で示されている「魅力」「コンテキスト」「重要性」のようなものを示したい時に、本書を参考に撮影していきたいと思います。

 

1-4. 現在持っているレンズで限界までやってみる

私はBMPCC4Kに、オリンパスの高倍率ズームレンズを装着しています。

これ以外のレンズは持っていません。


 

 

 

上記で説明したとおり、今後は「ボケ感」のある映像も撮影していきたいと思っています。

その場合、F4.0というレンズは、ちょっと暗すぎるのではないかと不安になっています。

これは本書を購入する前から思っていたことです。

 

  • F1.xの明るいレンズじゃないとダメではないか?
  • シネマレンズの方が良いのではないか?
  • 単焦点レンズの方が良いのではないか?

 

レンズは多種多様であるため、初心者の私はついつい別のレンズが気になってしまいます。

特に、YouTubeで別のレンズでシネマティックな映像を作っている人の動画を見たらなおさらです。

 

ただ、本書の最後のあたりの、「独自性」というタイトルのページを読んで、考えを変えました。

とりあえず、オリンパスのレンズで頑張ってみようという考えです。

これまでにない画を撮りたいと考えると、「予算の範囲内で可能な、最も先進かつ最も高価なレンズ」を選びたくなるものです。
今日では、低価格のDSLRやミラーレスカメラでも解像度、ダイナミックレンジ、感度が向上し、洗練されたプロフェッショナルルックの動画が誰でも撮影できます。
一方で、これらのツールを利用して説得力のあるストーリーを伝えられるかどうかは、利用するユーザーの能力にかかっています
(省略)
価格や品質に関係なく、レンズをうまく使うことで、アイデアや作品のテーマを豊かに表現する画像を作りあげられます

filmmaker's eye レンズの言語 映画のシーンに学ぶ画作りとストーリーの語り方

 

 

上記の引用文の後に紹介されたのが、「タンジェリン(Tangerine)」という映画です。

この映画は、iPhone 5sで撮影されています。


上記の映画の話を読んで、

  • iPhoneというセンサーサイズの小さいスマートフォンで撮影された映画があるくらいなので、BMPCC4Kとオリンパスレンズで映画を作れないわけがない

という考えに至りました。

 

もともと、上記のタンジェリンという作品は知っていました。

そして、iPhone XS Maxという当時一番最新のスマートフォンを買って、それで撮影しようと思っていました。

 

ただ、ドライブ動画が撮りたかったのですが、長時間撮影をすると、熱により撮影が止まる現象が頻繁に起こるため、BMPCC4Kを購入しました。

BMPCC4Kでは、長時間撮影ができるようになっています。

 

確かにオリンパスのレンズは暗めです。

F1.xのレンズに比べると、F4.0は暗いと思います。

ボケ感のある映像が撮りにくい時もあると思います。

 

そのため、本書で紹介されている撮影方法ができないことも多いでしょう。

 

ただ、今レンズを買うのは早すぎると思いました。

オリンパスのズームレンズでできる限界を知っておくべきだと考えました。

 

限界を知って、それ以外の撮影方法の実施が必要だと感じたときに初めて、新しいレンズを買うべきだと思っています。

 

そうしないと、新しいレンズを買っても、また別のレンズが欲しくなるだけでしょう。

レンズだけ買って、撮影スキルはまったく上がっていないということが起こるはずです。

お金だけがなくなっていき、資金がなくなり、動画撮影そのものができなくなってしまう恐れもあります。

 

そのため、オリンパスのズームレンズで本書の方法を実践していきます。

レンズの本ですが、このような考えにしてくれて感謝しています。

 

本書はレンズが欲しくなる本というわけではなく、あくまでも、レンズで表現できる撮影方法を教えてくれる本です。

自分が持っているレンズでどこまで真似できるか挑戦していき、スキルアップしていければ良いと思います。

 

2. 終わりに

私が最初に手にしたレンズがズームレンズで良かったと思っています。

広角、標準、望遠と、さまざまな焦点距離で撮影できます。

 

それにより、F値が4.0であり、少し暗いレンズとなっていますが、さまざまな焦点距離でさまざま構図を表現できるわけなので、もっとそのメリットを活かしていきたいと思います。

 

その実現に手を貸してくれるのが本書だと思っています。

本書により、さまざまな撮影方法を知ることができました。

さまざまな感情をレンズで表現できることがわかりました。

 

これからは、本書を読みながら、もっと多くの撮影を行い、スキルを上げながら、作品を作っていきたいと思います。

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