記事まとめ
- 洋書の翻訳本である「カラーコレクションハンドブック 第2版 映像の魅力を100%引き出すテクニック(ALEXIS VAN HURKMAN著)」の感想
- どのような本か?
- 動画編集における、カラー調整に関する本
- 「色」における基本的な知識や、映像における色の調整の仕方や考え方が説明されている
- 本書の内容を一言で表現すると?
- 「色の調整は、その映像をどのように見せたいかという思いを実現するものである」
- どのような人が読むべきか?
- シネマカメラでRAW撮影をしており、動画編集時にどのようにカラー調整をすればよいのか悩んでいる人
- 少し辛口な感想
- 大学の授業で使うような分厚い本なので、何度も繰り返し読まないと頭に入りにくい
- さらっと、入門的な知識を得るための本ではなく、もっと深い知識を得るための本
私は今まで、一眼レフカメラやシネマカメラをほぼ使ったことがない状況で、「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K(略称、BMPCC4K)」というシネマカメラを購入しました。
当然、映画制作や撮影に関する学校にも通ったことはありません。
観光地などで、自分の記録のためにスマートフォンで撮影する程度のことしかやってきておりませんでした。
そのような状況の中、撮影については、「filmmaker's eye 映画のシーンに学ぶ構図と撮影術:原則とその破り方(グスタボ・メルカード著)」という本から学びました。
以下の記事でまとめています。
撮影のあとは、編集が必要です。
編集は撮影カットを並べるだけでなく、色々あります。
- 撮影カットを並べる
- 色を調整する
- 不要な部分を削除する
- 別の動画を組み合わせる
- 音楽(BGM)をのせる
これらの中で私は、「色の調整」と「音楽」が重要だと思っています。
色と音楽が、その動画の雰囲気を作り出すと考えています。
- クールな落ち着いた雰囲気の映画に、バラエティ番組のような明るい映像や音楽は合わないと思います
- 逆に、バラエティ番組やおもしろ映像において、クールな暗めな照明や色、音楽は、全く合わないと思います
自分で動画編集するようになって気づいたのですが、音楽は映像に非常に重要です。
- 早いテンポで、撮影カットが切り替わる映像に、緩やかな落ち着いた音楽を載せると、非常に違和感を感じました
- 風景動画で、落ち着いた雰囲気を作りたい時に、早いテンポの曲を合わせると、非常に違和感を感じました
「音楽」の選び方は非常に重要だと感じています。
そして、「色」です。
自分が作り出したい映像に近づけるためには「色」が重要だと思っています。
特に、BMPCC4Kシネマカメラでは、RAW撮影(Blackmagic RAW)と呼ばれる、撮影時の色や明るさ情報などを多く保存する撮影方法で撮影しています。
この場合、動画編集時に、その保存された情報から、自分が出したい雰囲気作りのための、色の補正作業(調整作業)が必要になります。
この色の調整作業が、カメラ初心者の私の大きなハードルになっています。
そこで購入した本が、「カラーコレクションハンドブック 第2版 映像の魅力を100%引き出すテクニック(ALEXIS VAN HURKMAN著)」でした。
本書は、動画編集における、カラー調整のやり方や考え方を教えてくれます。
また、色の基本的な考え方や、脳に作用する仕組みのような深い話も含まれています。
色に関する、大学の授業を受けているような部分も一部あります。
そのため、簡単にさらっと読める本ではありません。
私もまだまだ繰り返し読みながらカラー調整を実施しています。
本記事では、数回繰り返し読んだ中で、学べたことをまとめてみたいと思います。
目次
1. 「カラーコレクションハンドブック 第2版 映像の魅力を100%引き出すテクニック」のレビュー
本書は、動画編集における「色」について詳しく説明された本です。
1-1. カラーコレクションとカラーグレーディングとは?
映像制作において、色(カラー)について、以下の2つの用語をよく聞くと思います。
- カラーコレクション(カラコレ)
- カラーグレーディング(カラグレ)
本書でも説明されていましたのでご紹介します。
なお、カラーコレクションのコレクションは、「補正」と言う意味の「correction」です。
「収集(集めること)」という意味の「collection」ではありません。
かつて(そう遠くない昔)、カラーコレクション(色補正)とはビデオのカラー調整に関する作業を表す説明で、グレーディングとは映画フィルムのカラータイミングの工程を表す用語でした。
時代が変わり、映画とビデオ両方向けのツールが組み合わされたため、現在、両方の用語がいつの間にかほぼ同義のものとして使われるようになりました。
しかし、本来カラーコレクションとはより技術的な処理を指し、画像の明らかな質の問題を修正して適正なニュートラルの状態にするための調整です。
一方、グレーディングとは、プログラムのストーリーおよび芸術面での要求に応じて、映像のスタイル全般を適切に制作するという、プログラムとの関係がより深い工程を指します。(省略)
実際にショットに対する作業を行うプロセスを説明する際に使われる「コレクション」という用語は個別の調整のことです。
一方「グレーディング」とは、複数の調整の集合を指しており、これらすべてが組み合わさってショットの全体的なルックを作り上げます。カラーコレクションハンドブック 第2版 映像の魅力を100%引き出すテクニック(ALEXIS VAN HURKMAN著)
私は以下のように認識しました。
- カラーコレクション
- 色を補正する
- 白飛びや黒潰れを無くす
- 観光地で見たままの色に近づける
- カラーグレーディング
- 映画などにおいて物語上必要なため、朝撮影した映像だが、夕暮れの映像に変更する
映像制作において、映画でなくても、上記の両方を実施することがあると思っています。
たとえ、おもしろ動画を作っていたとしても、撮影のまま映像を使うのではなく、少し明るい雰囲気にカラーグレーディングすることもあると思っています。
カラーグレーディングのやりすぎは注意?
ただ、観光地の海を見た時に、「言われるほど、大して青くなかったなぁ」というときに、動画編集時に、すごく綺麗な青い海で表現するのは、少し疑問に感じます。
映画ならいいですが、その観光地を紹介する動画を作る私としては、ちょっと「嘘」に近づいてしまう気がしますね。
観光地をアピールする動画であれば‥、とは思いますが、私は自分が現地で感じたままを色で表現した方がよいと思っています。
そのため、風景動画については、カラーグレーディングはあまり適用しない予定です。
1-2. 色を引き出すために環境のセットアップが重要
本書では、カラー調整をするための環境についても話がありました。
確かに、カラー調整しているモニターの色が悪ければ、映画館などで理想的な色を出すことはできないと思います。
また、モニターに当たる光も重要なようで、蛍光灯の色により、モニターから動画編集者に届く色が変化します。
このようなこともあり、カラー調整をする場合は、モニターに気を付けたり、蛍光灯や日の光がモニターに当たらない環境が重要なようです。
ただ、本書で説明されるような環境を構築すると、数百万円以上必要となりそうなので、私は、それなりに気をつけるという感じでいく予定です。
どこで映像を公開するのか?
映像を公開する場所も重要のようです。
- 映画館
- テレビ
- YouTube
- テレビ
- パソコン
- タブレット
- スマートフォン
もしYouTubeで映像公開するのであれば、スマートフォンでカラー確認をした方がよさそうですね。
逆に言うと、スマートフォンでYouTubeを見ている人だけに対して動画公開するのであれば、スマートフォンで確認するだけでよいと思います。
私は、YouTubeに公開したいと思っていますので、「テレビ」「パソコン」「タブレット」「スマートフォン」で映像確認すべきですね。
1-3. コントラスト調整が基本的な考え
まだ本書を読み込めていないのですが、とりあえず基本的な考え方として、「コントラスト調整」が重要だと感じました。
コントラスト調整は、簡単に言うと、画像の一番暗い箇所と一番明るい箇所を調整することです。
この正反対である、暗い箇所と明るい箇所の差が大きければ大きいほど、人は明るさや色を認識しやすくなります。
この考え方はいろいろ応用できると思いました。
- 映画の物語においても、主人公のトラブルによる落ち込みの具合と、そこから這い上がった上がり先の差が、大きければ大きいほど、強い印象になります
- 音楽についても、静かなところはとことん静かな音にして、激しいところは大きな音にすれば、非常に印象に残ると思います
このように、一番大きいところと一番小さいところの差をできるだけ大きくするほうが、強い印象を残せるという考えを身につけることができました。
コントラスト調整
カラー調整の際にまず最初に私がやっていることは、コントラスト調整です。
具体的には以下のようなことを実施しています。
- 「リフト」により、暗い部分を下げる
- 「ゲイン」により、明るい部分を上げる
とりあえずこの2つを実施することで、BlackmagicRAWで撮影した映像の、ボやーっとした薄い映像が、くっきりしていきます。
それが、コントラスト調整です。
1-4. プライマリー調整とセカンダリ調整
コントラスト調整のあとは、プライマリー調整とセカンダリ調整となります。
カラーコレクション/カラーグレーディングのメインはこの2つの調整だと思います。
- プライマリー調整
- 画像全体に対して編集を行うこと
- セカンダリ調整
- 画像の特定の箇所に対して編集を行うこと
- 「空の部分のみ」「人の着ている服の部分のみ」など
- 画像の特定の箇所に対して編集を行うこと
映画のストーリー上、登場人物を冷たい雰囲気にしたい場合は、映像を全体的に青みがかった色合いに調整することになるでしょう。
逆に、優しい雰囲気にしたい場合は温かみがあるオレンジっぽい色合いに調整します。
このような調整が、プライマリ調整になります。
そして、特定の部分、例えば、映像における「空の部分」のみを、より青くしたい場合は、セカンダリ調整になります。
特定の部分のみを選択して抜き出し、色を変更します。
このような方法や、色の考え方を本書で学べます。
まだ私は学び中ですので、いつか誰かに説明できるくらいになりたいですね。
1-5. 結局は、自分がどういう色にしたいかが重要
映像における色に、正解はないと思います。
同じ映像でも、その映像を作り出す人の考え方が変われば、色の適用の仕方も変わります。
映像を見る人のことを考えることも必要ですね。
つまり、映像に対して、「こういう色にしたい」という考え方がないとカラー調整ができません。
「ストーリー上、主人公の気持ちを表現したい」「現地の色を再現したい」でもなんでもいいですが、そういった理由がないとカラー調整はできないということです。
映画制作者であっても、YouTuberであっても、「自分はクリエイターだ」という認識が必要ですね。
自分は表現者であり、「こういうことを伝えたい」という強い気持ちがないと、カラー調整はできないと分かりました。
風景映像を撮影する私はやはり、「現地の色や現地で感じたこと(雰囲気)をそのまま伝えたい」ということになります。
そのため、観光地で感じたことや感情は忘れないように、メモを取るなり工夫しておこうと思います。
忘れてしまったら、カラー調整の時、どういう考えで色を変えていけばいいか分かりませんからね。
2. 終わりに
私はクールな映画が好きなためか、「青みがかった雰囲気の色」を好んでいます。
映画でいうと、「ワールド・オブ・ライズ」というレオナルド・ディカプリオ主演の映画と、「アウトレイジ」という北野武監督の映画の雰囲気が好きです。
- ワールド・オブ・ライズ
- アウトレイジ
本書を読む前の私は、風景映像に対しても、同じような青みがかった雰囲気を作り出そうと思っていました。
ただ、これは、あくまでもストーリー上、必要により作り出した雰囲気であるということがよく分かりました。
どちらの作品も、クールなダークな雰囲気のストーリーだからです。
これを、楽しい観光地に適用するのは違うと思いました。
ただ、シネマカメラを持っている私としては同じような雰囲気の動画を作りたいです。
そのため、風景動画ではなく、別途、ショートムービーのような形で、このクールな雰囲気の映像作品を作ってみたいと思っています。
どうせなら楽しみながら作品を作りたいですからね。
自分が好きな雰囲気の作品なら、楽しく動画撮影や編集ができると思っています。
クールな雰囲気に合う物語を作って、短い映画を作っていく予定です。
楽しみです。