記事まとめ
- 洋書である「MARKETING 5.0」(マーケティング5.0)の感想
- どのような本か?
- 「MARKETING 5.0」は、ビジネスにおけるマーケティングの研究で有名なフィリップ・コトラーと他2名の著書
- 日本でも、過去の著書である「マーケティング4.0」「マーケティング3.0」の翻訳本が発売されており、いずれ本書も翻訳されると思われる
- 本書の内容を一言で表現すると?
- 「今後、マーケティングにおいて、人間の能力を模倣した新しい技術を使っていきましょう」
- 【新しい技術】AI(人工知能)、NLP(自然言語処理)、センサー、ロボット、AR、VR、IoT、ブロックチェーン
- 合わせて、ビッグデータ、つまり、顧客の行動などの情報を集めることが重要
- なお、本書でいうマーケティングは、「販売促進活動」だけではなく、「カスタマーからの問い合わせ対応」や「新サービスの開発」など、幅広い範囲であるため、企業活動全般が対象となっている
- 「今後、マーケティングにおいて、人間の能力を模倣した新しい技術を使っていきましょう」
- どのような人が読むべきか?
- 上記のような新しい技術の導入を検討している担当者
- 新しい技術の概要や、自社のどの分野(販売部、オペレーターなど)に、どうやって適用すれば良いかを知りたい人
- 少し辛口な感想
- 上記の技術について、セミナー/展示会へ参加したり、ニュース記事で情報収集している人にとっては既知の情報が多いと思われる
私は2021年1月に個人事業主として開業しました。
会社員を辞めたのは2018年であり、今日までに、個人事業主として成功するために、英語の勉強と読書に励みました。
その中で読んだ本が、「マーケティング4.0」「マーケティング3.0」でした。
会社員時代は、技術職だったためか、「マーケティング」という言葉を使ったことも考えたこともありませんでした。
ただ、上記の本や他のマーケティング関連の本を読んで、マーケティングは全ての会社員に必要な知識だと思っています。
「マーケティング」とは、販売活動や販売促進活動だけではなく、事業全体に関わることだと認識しています。
- お客さまはどのようなサービスや製品を求めているのか?
- 現在のサービスや製品にどのような不満があるのか?
- 他社のサービスや製品を使っているお客さまはなぜ自社のサービスを使ってくれないのか?
こういったことを考えることもマーケティングだと思ってます。
これらは、会社として実施すべき当たり前の行為です。
これにより、新サービスや新製品の方向性が決まり、プロトタイプが作られ、試験され、商品化され、改善されていくと思いますが、この一連の活動がマーケティングです。
人によってマーケティングの定義は違うと思いますが、私がいろいろなマーケティング関連の本を読んだ結果、上記のような考え方になりました。
そのため、個人事業主として成功するためには、マーケティングの知識は重要だと思ってます。
そのような中、「マーケティング4.0」の著者であるフィリップ・コトラーの最新著書「MARKETING 5.0」が発売されました。
2021年2月9日現在、日本語の翻訳本は出ていませんが、過去の書籍は6ヶ月〜9ヶ月後に翻訳本が出ていることから、2021年中に翻訳本が出てくると思われます。
(2022年7月28日追記)
日本語の翻訳本が、2022年4月20日に出版されています!
私は「英語」を使って個人事業を行っていくため、「英語リーディング」と「マーケティング」の両方のスキルが上がると考えて、本書を読むことにしました。
せっかくですので、本書の感想をまとめてみたいと思います。
私はマーケティングの専門家ではないですし、英語も勉強中ですので、多少、間違って認識したところがあるかもしれませんので、ご了承いただければ幸いです。
目次
1. マーケティング5.0とは?
まず最初に本書で言いたいことを一言でまとめると以下です。
- 人間を模倣した新しい技術をマーケティングに導入しよう
「人間を模倣した新しい技術」とは以下のようなものです。
- AI: 人工知能
- NLP: 自然言語処理
- センサー
- ロボット
- AR
- VR
- IoT
- ブロックチェーン
さらに、情報収集のための「ビッグデータ」という言葉も出てきます。
上記の技術は、日々のニュースやビジネス書などで取り上げられているため、聞いたことがあるものばかりだと思います。
本書の半分以上は、上記の技術の概要の説明や導入事例の紹介になっています。
当然ですが、マーケティングにどう活かせば良いのかを中心に書かれています。
マーケティング5.0とは、簡単にいうと、そういった新技術をマーケティング(企業活動)に活用することです。
1-1. 具体的な5つの活用方法
本書では大きく5つの活用方法を提示しています。
- Data-driven marketing
- Predictive marketing
- Contextual marketing
- Augmented marketing
- Agile marketing
それぞれ簡単にまとめます。
活用方法 | 説明 |
1. Data-driven marketing (データ駆動) |
顧客の購入履歴などのデータを集める仕組みの構築(ビッグデータ) |
以下の2、3、4を行うための基礎となる | |
2. Predictive marketing (予測) |
ビッグデータにより、過去の行動から将来を予測し活かす |
(例)高い利益になりそうな顧客はサポートチームで対応し、そうでない顧客は機械による自動対応 | |
3. Contextual marketing (前後関係からみた) |
ビッグデータにより、顧客の店舗内の行動やその日の天気や温度などの情報から判断し、適切な広告を出す |
(例)冷蔵庫の中身を分析して、年齢などを予測し、冷蔵庫のディスプレイに適切な広告を表示する | |
4. Augmented marketing (増大させる) |
人とAIが協力して、生産性を上げる |
(例)よく来る質問(FAQ)は、オペレーター(人)ではなく、機械に対応させる | |
5. Agile marketing (素早い) |
流行や顧客の行動をモニターし、製品サイクルを早く回す |
新しいサービスもすぐに時代遅れになってしまう時代 |
本書では、
- 「Data-driven marketing」を行い、それにより、
- 「Predictive marketing」「Contextual marketing」「Augmented marketing」を行い、
- 「Agile marketing」を行う
というように、3つに分けています。
ビッグデータが基礎
上記のとおり、ビッグデータを基礎としています。
本書を読む前から、ビッグデータの重要性、そして、ビッグデータの対応の難しさを理解しておりました。
AIは、たくさんのデータを学習させることで、人には見つけにくいような何かしらの傾向や兆候を見つけることができます。
- 週末が雨の日は、20代の未婚の男性は、この商品を買う傾向があるなぁ
ポイントは、上記の太文字のように、より細かく分析できるということです。
ただ、ビッグデータを集めるのは正直な話、難しいこともあると思います。
私は会社員時代にAIを社内業務に活用する検討を行っていました(2016年~2018年)。
その際、AIにデータを学習させることを実施したのですが、あまりにもデータが貧弱すぎて(少なすぎて)、良い結果が得られませんでした。
そのときは、データの重要性を認識しないまま、とりあえず、「AIを活用して何かやれ!」という会社命令だったので、失敗するのは明らかでした。
難しいとはいうものの、データを集めようとしないのは、今後10年間かけて、成功と失敗の分かれ道になるかもしれません。
現在データを集める仕組みがないのであれば、その仕組みを作っていくべきだと感じてます。
そうしないと、ライバル企業に大きく離されてしまうのではないかと思います。
1-2. 人間を模倣した技術
本書では、AIなどの新技術を、「人間を模倣した技術」と表現しており、良い表現だと思いました。
これは、「AIが人の仕事を奪う!」という不安を和らげるためだと思います。
本書でも、上記の不安は取り上げられており、「人」と「機械」は協力していくべきだと記載されていました。
人が得意なことは感情を操ること
「人」が得意で、「機械」が苦手なことは、やはり「感情」です。
人は、顔の表情やしぐさで相手を理解したり、他にも、夜の飲み会で意気投合するなんてこともあると思いますが、これらはすべて「感情」です。
ここは機械が苦手な分野です。
機械と飲み会に行っても、面白くない(?)のではないかと思います。
あくまでも2021年現在の話ですが‥。
こういった人間関係もマーケティングには重要なため、「人」の仕事はなくならないという考えです。
そして、FAQなど、何度も問い合わせが来るようなことや、あまり高収益を見込めない顧客に対しては、生産性を高めるため、機械による対応をするなど、適材適所を推奨しています。
今まで手書きで書いていた稟議書をパソコンで書くようになったり、郵便で送っていたものを電子メールで送るようになったことと同じように、AIなどの新技術を活用していけばいいのではないかと思ってます。
1-3. マーケティング5.0はマーケティング4.0の延長
マーケティング5.0は、日本の「Society 5.0」にインスパイヤされたと書かれていました。
詳しくは、内閣府のホームページをご確認ください。
マーケティング5.0とは、これまでの説明のとおり、新技術を使ってマーケティングを行うことですが、マーケティング4.0も継続です。
「マーケティング4.0を持続していくために、新技術を使っていきましょう」ということになります。
マーケティング4.0/3.0については、翻訳本を読んでもらえればと思いますが、簡単に表にすると以下です。
マーケティング1.0 | product-driven marketing |
マーケティング2.0 | customer-oriented marketing |
マーケティング3.0 | human-centric marketing |
マーケティング4.0 | the pivot to digital |
上記はそれぞれ時代の移り変わりを表しています。
初めは、企業側の考え方(製品中心)で製品/サービスが展開されていきましたが(マーケティング1.0)、その後、消費者中心、つまり、お客さまの好みを意識するように変わります(マーケティング2.0)。
その次のマーケティング3.0は、消費者中心をさらに超えたような考え方で、社会の問題解決や世界貢献のような価値を目指す概念です。
感情や精神に訴えます。
「従業員を酷使しているブラック企業」「環境を破壊しまくっている企業」からサービスを受けたいと思うかどうかです。
そしてマーケティング4.0は、伝統的なやり方からデジタル化への移行です。
SNSマーケティングが良い例だと思います。
消費者は、企業の広告(CMやパンフレット)よりも、友人や家族やインフルエンサーの情報を信じます。
企業側が都合の良いように書いたであろう情報(広告)には見向きもしなくなっている、ということです。
マーケティング5.0もデジタル化です。
本書では、「マーケティング4.0の本には、AIやNLPなどの技術が書かれていなかったが、それらの技術がまだ主流じゃなかったからだ」と書かれています。
マーケティング5.0は、マーケティング4.0の延長だということになります。
マーケティング5.0がこのタイミングで出た理由は、パンデミック
おそらく、この2021年2月のタイミングで本書が発売されたのは、「新型コロナ」の影響だと思います。
本書に書かれていて納得したのですが、以下のような流れのため、パンデミックが終結後も、新技術の活用は進んでいくと言うことです。
- パンデミックのせいで、「リモート会議」や「リモートワーク」が増えた
- 新しい環境(自宅)で実施する仕事に「抵抗してきた人たち」が、慣れてきた
パンデミックが起こる前から、「働き方改革」や「地震対策」のために、リモートワークの環境が整っていた企業は多くあると思います。
ただ、
「リモートワークは非効率」
「やっぱり対面会議じゃないとね」
という、「抵抗する人たち」により、それほど普及していなかったように思います。
今回、こういったリモートワークを実施する企業が増え、ソフトウェアの使い方や利便性も向上しています。
自宅で働くために、机を買ったり、デスク周りを整備した人もいるのではないでしょうか?
このように、人々がリモートワークに「慣れてきた」はずです。
そのため、リモートワークは、パンデミックが落ち着いた後も、継続する企業が多いのではないかと言うことでした。
私もこの意見に納得しました。
確かに、「リモートワークは非効率だ」と思っている人もたくさんいるでしょうし、今までのやり方に戻る企業も多いと思います。
ただ、今後またパンデミックが起こった時のための準備が加速するでしょうし、リモートワーク関係の技術は衰えないと思います。
また、リモートワークだけではないです。
コールセンターをロボット化(自動音声対応、チャットボットなど)することも、パンデミック時の仕事の継続につながります。
ロボットはコンピューターウイルスには弱いですが、現実のウイルスは効かないですからね。
このように、新型コロナの影響で、先に示した新技術により、人間の能力を模倣するシステムの導入は止まらないだろうということでした。
今後もますます、新技術の導入が増えていくと予想されます。
2. サービスのターゲッティングについて
サービス/製品を開発する際、もしくは、販売促進をする際の重要項目として、ターゲッティング(顧客層の決定)があると思います。
- 誰にサービスを提供したいのか?
- どの層にサービスを提供したいのか?
私は本書を読み、以下3つの内容を意識してターゲッティングしていくべきだと考えました。
- 世代
- 二極化(富裕層と貧困層)
- セグメント化(より細かくする)
2-1. 世代
まず注意点として、本書は洋書ですので、日本に必ずしも当てはまるとは限りません。
これから説明する世代についても同様ですが、それほど日本も変わらないと思いましたので、私は意識していきたいと思ってます。
本書では、顧客の層について、以下の5つに分類していました。
世代 | 年代 | 特徴 |
1. Baby Boomers | 1946~1964年生まれ | 人数が多い |
2. 世代 X | 1965~1980年生まれ | 友人や家族を大事にする |
3. 世代 Y |
1981~1996年生まれ | ・Baby Boomersの子で人数が多い |
・ソーシャルメディアやインターネット技術を受け入れている | ||
4. 世代 Z |
1997~2009年生まれ | ・お金をため、安定を求めている |
・オンラインとオフラインの区別がない (生まれた時からインターネットに触れている) |
||
5. 世代 Alpha |
2010~2025年生まれ | ・世代 Yの子であり、Yの子育てに影響を受けており、「多様性の考え」や「テンポの速い都会の生活感」を持っている |
・おもちゃのレビューは、企業広告ではなく、YouTubeを見ている |
今日までマーケティングや企業活動に従事してきた人にとっては、「1. Baby Boomers」「2. 世代 X」「3. 世代 Y」については、さまざまな情報が集まっていると思われます。
そのため、今後重要となるのは、「4. 世代 Z」と「5. 世代 Alpha」です。
本書では上表の特徴以外にもまとめられており勉強になりますが、上記2つの世代の一番の特徴はやはり、「インターネットを生まれた時から利用している世代」ということです。
私は「3. 世代 Y」に属されますが、インターネットを使い始めたのは、大学生時代(2004年頃)です。
つまり、インターネットがない時代も経験しています。
一方、「4. 世代 Z」「5. 世代 Alpha」は、インターネットが生まれた時から当たり前に存在しており、幼少期から利用していることになります。
これが、新しい世代との考え方が異なる要因です。
本書では、「ジェネレーションギャップ」というタイトルで説明されていきます。
世代 Z と 世代 Alpha
世代 Zと世代 Alpha は、考え方がその他の世代とは異なるため、販売促進活動(CMや広告)のやり方も変える必要があります。
それだけではありません。
顧客だけでなく、上記の世代が、自社にも入社してくることになります。
この2世代の特徴として、「インターネットや新しい技術にあまり抵抗がない」というものがあります。
本書で語られている「マーケティング5.0」は、「人間の能力を模倣する技術の利用」ですが、この利用に対して積極的になる世代がこの2つの世代です。
つまり、現在企業で活躍している世代(Baby Boomers, X, Y)が新しい技術に抵抗を持っていたとしても、今後はますます利用されていくことになるだろうと思われます。
これからの顧客層として、新しい世代(ZとAlpha)が増えていくわけですから、これらの世代に向けたマーケティング活動(企業活動全般)を実施することは必須だと感じました。
とりあえず簡単な方法が、デジタル化ですね。
新しい世代(ZとAlpha)は、デジタル(インターネットやSNS)を当たり前にこなしている世代ですので、これらを活用していくことは必須だと思います。
2-2. 二極化(富裕層と貧困層)
富裕層と貧困層の間がますます広がっているという問題は日本でも語られている話題だと思います。
この問題も企業活動に利用すべきです。
私は今後、サービスを提供するのであれば、「富裕層向け」と「貧困層向け」の2つのサービスしか提供しないと決めました。
富裕層向けサービス | ・サービスに対して付加価値をつける (アフターサービス、高級素材など) |
中間層向けサービス | 上下どちらかを選んでもらえばよい? |
貧困層向けサービス | ・必要最低限の機能に絞り、安価にする (非本質的な機能は削ぎ落とす) |
今後の政府の対応などにより状況は変わっていくかもしれませんが、中間層の人数が減っていって、極端に高価なものか安価なものかで選ぶような人が増えるのではないかと予想しています。
中途半端な付加価値を盛り込んで、中途半端な価格上昇になるものは、選ばれにくくなると思いました。
ちょっと極端な考えですが、二極化については今後も注視して、顧客層を考えていこうと思います。
2-3. セグメント化(より細かくする)
本書で頻繁に出てきた英単語が2つあります。
- Personalized
- Customized
これは、
「広告は、そのサービスが必要と思われる人向けに出す」
「サービスは、その人にあった独自のものを提供する」
というような内容でした。
ブログやYouTubeにおける広告と、テレビ番組における広告の比較が良い例だと思います。
ブログやYouTubeにおける広告は、できるだけその人に関連するような広告が表示されています。
- 日本人なら日本人向けの広告
- 投資を検索したことがある人に対しては、投資関連会社の広告
- プログラミングに興味がありそうな人に対しては、プログラミングセミナーの広告
これらは、その人が過去に検索したワードや、よく見るYouTube動画などから選ばれています。
このように、そのサービスがほしいであろう人に対して広告を出すべきだということです。
広告だけでなく、サービスや製品についても同様で、顧客はカスタマイズされたものを好んできています。
- サイズ
- 色
- 味
こういったパーソナライズされた広告やサービスを提供するために、新技術(ビッグデータ、AIなど)を活用します。
むしろ、活用しないと、人間の力ではできないです。
パーソナライズ広告の良い経験談
私も、TOEICという英語の試験勉強をしている際に、
「リスニングの勉強をもっと静かな環境で実施したい」
と考えていたところ、Boseというメーカーの広告に出会いました。
そこで「ノイズキャンセリング(周囲の音を拾って静かな空間を作る機能)」の説明を読み、欲しくなり、購入したところ、非常に良い結果となり、英語の勉強がはかどりました。
おそらく「英語リスニング」などの検索ワードから、「Bose」のメーカーの広告が出されたのだと思われます。
このような良い経験があるため、私はこのビッグデータ利用について、肯定的です。
当然、個人データを集めているように感じるため抵抗がある人も多いと思います。
ただ、私は、ブログやYouTubeなどで出てくる広告は、どうせなら自分に関連する広告の方がいいです。
以下の広告が流れていると、非常に無駄な時間を過ごした気分になります。
- 大人なのに子ども向けのおもちゃの広告
- 男なのに女性向けの広告
パーソナライズ広告の怖さ
本書を読んでいる中で以下のような文章に出会いました。
- パーソナライズされた情報を提示しすぎると、その方向に偏りすぎてしまう!
これを読んだ時、少し怖くなりました。
私は大人向けの広告やサービスなら良いのではないかと思います。
ある程度、考え方や趣味などが固まってきているからです。
ただし、当然、考え方は日々変わるものですのでちょっとは怖いです。
それよりも、子どもです。
子どもに対するパーソナライズ広告やサービスはちょっと危険な香りがします。
サッカーが一度好きになった子どもは、ネット検索やYouTubeで「サッカー」関連の情報ばかり出てくることになると思います。
もしかすると、「野球」や「バスケットボール」についても、興味や才能があるかもしれません。
他にも、実は、「将棋」や「アニメーター」の素質があったのかもしれません。
子どもはいろいろな分野に触れて、自分の進むべき道を決めていけばいいと思うのですが、その可能性を狭めてしまう恐れがあると思います。
いや、大人も一緒かもしれません。
1つの考え方を信じてしまうと、それを肯定するものばかり触れることになり、その考えが間違っていたり危険なものであれば、間違った方向へ陥ってしまう恐れがあります。
パーソナライズ広告やマーケティングは、便利なものだと思いますが、大変危険な可能性もあるものだと認識した方がよさそうです。
企業側というより、顧客側に立った時に、広告を信じすぎず、自ら新しい情報を探していくようなやり方を取るべきだと感じました。
3. 終わりに
私は会社員時代に、AI(人工知能)を自社に導入する検討をしていた時期がありました。
2016年~2018年ころです。
そのころ、AIだけでなく、ビッグデータ、RPA、チャットボット、コールセンターの自動音声対応、自然言語処理などの情報も収集していました。
結局、自社の適用しようとしてた分野の人件費(その対応者の給料)とAIシステムの導入を比較して、費用対効果が小さいと判断され、導入はしませんでした。
本書では、そのころに情報収集した内容がまとめられているような感じでした。
そのため、少し物足りない感じを受けたのは否めません。
もしAIや、関連技術の情報収集を行っている人にとっては、物足りないと感じる本になるかもしれません。
本書を購入する場合は、少し立ち読みして決めた方が良いかと思います。
ただ、全体的な情報を本書1冊で学べますし、マーケティングの本ですので、マーケティング目線の内容も含まれています。
新型コロナウイルスによるパンデミックが終わったとしても、今後再度、同じようなことが起きる前に準備する企業が増えるでしょう。
そのため、パンデミックが終わった後に、新技術の導入が各所で加速するかもしれませんので、今一度、整理のために本書を読むのも悪くないかと思います。